第80回アカデミー賞

第80回アカデミー賞は、2008年2月24日に発表・授賞式が行なわれました。対象となった作品は2007年中にロサンゼルスで封切られ、1週間以上商業公開が行われた映画です。5829人の会員が投票権を持ち、7回目の開催となるコダック・シアターで授賞式が行われました。司会は前々回も務めたコメディアンのジョン・スチュワートで、2006年8月に開催された第58回プライムタイム・エミー賞で司会を務めた矢先の起用でした。プロデューサーは前々回以来14回目の起用となるギル・ゲイツで、演出は第69回から12年連続のルイス・J・ホーヴィッツでした。2007年11月からの全米脚本化組合のストライキにより、テレビ中継用の脚本が書けない状態だったため、授賞式の開催が一時は危ぶまれていましたが、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが予定通り開催することを明言し、事なきを得たという背景があります。

主な日程

  • 2007年12月26日・・・候補投票の用紙を発送
  • 2008年1月12日・・・候補投票の締め切り
  • 2008年1月22日・・・候補を発表
  • 2008年1月30日・・・最終投票の用紙を発送
  • 2008年2月9日・・・科学技術賞の授賞式を開催
  • 2008年2月19日・・・最終投票の締め切り
  • 2008年2月24日・・・第80回アカデミー賞の授賞式を開催

80周年記念ポスター

第80回をもって、アカデミー賞は80周年を迎えることもあり、公式のポスターと80周年を記念したポスターの2通りが発表されました。公式ポスターは「スター・ウォーズ」シリーズのポスターのイラストレーターで知られるドゥルー・ストゥルーザンと彼の息子のクリスチャンがデザインしました。黒の背景に後ろからフラッシュを浴びた金色のオスカー像が中心に描かれています。一方80周年記念ポスターは、これまで作品賞を受賞した作品のポスターが螺旋状に連なってオスカー像を形成しているデザインで、最後の80作目の位置はクエスチョンマークになっています。

ノミネートについて

候補作の発表は2008年1月22日午前5時30分より、サミュエル・ゴールドウィン・シアターで発表されました。会長のシド・ギャニスが発表し、サプライズで俳優のキャシー・ベイツも登場しました。最多候補となったのは、作品賞候補にもなった「ノーカントリー」と「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」の2作品で8部門のノミネートとなりました。

演技部門

演技部門では、助演男優賞候補のハル・ホルブルックが82歳と339日での候補となり、男優の史上最年長候補記録となりました。授賞式時には83歳となるため、受賞すれば受賞記録も更新することになるはずでしたが、残念ながら受賞には至りませんでした。助演女優賞候補だったルビー・ディーも83歳での候補であり、同様に受賞を果たせば記録更新でしたが、受賞はなりませんでした。80歳以上の俳優が複数人候補になったのは今回が史上初の出来事でした。主演女優賞と助演女優賞の候補に挙がったケイト・ブランシェットは、演技部門で2部門同時に候補になった史上11人目の俳優となりました。助演女優賞候補は前年の「あるスキャンダルの覚え書き」に続く2年連続となります。主演女優賞での候補作「エリザベス:ゴールデン・エイジ」で演じたエリザベス1世役は、9年前の前作「エリザベス」でも同じ役で候補に挙がりました。同じ役でのアカデミー賞候補は、ビング・クロスビー、ピーター・オトゥール、アル・パチーノ、ポール・ニューマンに次ぐ5人目で、女優だけで括ると史上初となります。さらに、助演女優賞の「アイム・ノット・ゼア」で候補となったのは男性の役であり、女優が男性を演じて候補になったのは「危険な年」で受賞もしたリンダ・ハント以来2人目となります。

技術部門

「ノーカントリー」でノミネートされたコーエン兄弟は、作品賞・監督賞・脚色賞で候補になったほか、変名のロデリック・ジェインズ名義でも編集賞候補になったため、1作品から4部門でノミネートされたことになります。3部門で候補になることは珍しくないのですが、4部門は稀であり、これはウォーレン・ベイティが「天国から来たチャンピオン」と「レッズ」で2度成し遂げて以来の快挙でした。また、監督賞にコンビで候補になったのは、バック・ヘンリーとウォーレン・ベイティに次ぐ三組目でした。また、撮影賞ではロジャー・ディーキンスが「ノーカントリー」と「ジェシー・ジェームズの暗殺」の2作で候補になりました。撮影賞での2作同時候補は、1972年開催の第45回アカデミー賞でロバート・サーティスが成し遂げて以来の35年ぶりとなりました。歌曲賞では「魔法にかけられて」が3つの候補を独占しました。どの曲も作詞・作曲はアラン・メンケンとスティーヴン・シュワルツのコンビで、両者ともに3候補にノミネートされました。録音賞で候補となったケヴィン・オコネルは実に20回目のノミネートとなりましたが、まだ受賞はしていません。

日本人のノミネート

メイクアップ賞候補には前年に引き続き辻一弘が「マッド・ファット・ワイフ」でノミネートしました。日本人の二年連続候補は史上初の快挙です。また、外国語映画賞で、俳優の浅野忠信が主演したカザフスタン映画「モンゴル」が候補に挙がりました。

名誉賞

2007年12月12日に「北北西に進路を取れ」などで4度の美術賞候補となったロバート・ボイルに対し、名誉賞が授与されることが発表されました。美術監督が名誉賞を受賞するのは史上初のことで、授賞式に先立って大きな話題となりました。

受賞

  • 作品賞・・・「ノーカントリー」
  • 監督賞・・・ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン「ノーカントリー」
  • 主演男優賞・・・ダニエル・デイ=ルイス「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
  • 主演女優賞・・・マリオン・コティヤール「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」
  • 助演男優賞・・・バビエル・バルデム「ノーカントリー」
  • 助演女優賞・・・ティルダ・スウィントン「フィクサー」
  • 脚本賞・・・ディアブロ・コーディ「JUNO/ジュノ」
  • 脚色賞・・・ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン「ノーカントリー」
  • 撮影賞・・・ロバート・エルスウィット「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」
  • 編集賞・・・クリストファー・ラウズ「ボーン・アルティメイタム」
  • 美術賞・・・ダンテ・フェレッティ(美術監督)、フランシスカ・ロ・スキアボ(装置)「スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
  • 衣装デザイン賞・・・アレクサンドラ・バーン「エリザベス:ゴールデン・エイジ」
  • メイクアップ賞・・・Didier Lavergne、Jan Archibald「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」
  • 作曲賞・・・ダリオ・マリアネッリ「つぐない」
  • 歌曲賞・・・“Falling Slowly”作詞・作曲:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァ「ONCE ダブリンの街角で」
  • 録音賞・・・Scott Millan、David Parker、Kirk Francis「ボーン・アルティメイタム」
  • 音響編集賞・・・Karen Baker Landers、Per Hallberg「ボーン・アルティメイタム」
  • 視覚効果賞・・・Michael Fink、Bill Westenhofer、Ben Morris、Trevor Wood「ライラの冒険 黄金の羅針盤」
  • 外国語映画賞・・・「ヒトラーの贋札」監督:シュテファン・スツォヴィスキー(オーストリア)
  • 長編アニメ映画賞・・・「レミーのおいしいレストラン」監督:ブラッド・バード
  • 長編ドキュメンタリー映画賞・・・「『闇』へ」監督:アレックス・ギブニー
  • 短編ドキュメンタリー映画賞・・・「フリーヘルド」監督:シンシア・ウェイド
  • 短編アニメ映画賞・・・「ピーターと狼」監督:スージー・テンプルトン
  • 短編実写映画賞・・・「ピックポケット」監督:フィリップ・ポレ=ヴィラール